心療内科・精神科
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
ただのトラウマだと思っていませんか?
PTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)は、暴力被害や犯罪被害、火事、事故、自然災害(震災など)に直面したのち、時間がたってからもその経験に対して強い恐怖を感じる病気です。突然怖い体験を思い出す、不安や緊張が続く、めまいや頭痛がある、眠れないといった症状が続きます。もちろん、とてもつらい体験をすると誰しも眠れなくなったり食欲がなくなったりするものですが、それが何カ月も続くときはPTSDの可能性があります。ストレスとなる出来事を経験してから数週間、ときには何年もたってから症状が出ることもあります。
PTSDの特徴は、普段はその出来事を忘れていても、突然その出来事を鮮明に思い出してしまうことがあったり、その出来事がまだ繰り返されているかのよう感じてしまい、恐怖心でいっぱいになる、いつも神経が張りつめていて、不安と緊張が無くならなかったり、眠れなくなり、その出来事に関する悪夢を繰り返しみてしまいます。また、頭痛、過呼吸、動悸などの身体の症状もみられます。
このように、個人の力ではどうにもならないような圧倒されるほどの衝撃的な出来事を経験した場合、それが大きな心の傷(トラウマ)となり、その後様々な精神的、身体的問題を残すことがあるのです。
【 症状 】
PTSDの症状は、1ヶ月以上続くのが特徴です。こうした症状は、多くは恐ろしい体験をしてから半年以内に現れます。まれに、数年経過してから症状が出ることもあります。具体的な症状は、以下のとおりです。
1.追体験(フラッシュバック)
トラウマの原因となった恐ろしい体験が、ある日突然思い出され、そのときに感じた身体的苦痛や感情を思い出してしまうといった症状です。また、その出来事が繰り返し夢に出てくることがあります(悪夢)。この恐怖体験のフラッシュバックによって、動悸がする、呼吸が困難になる、吐き気がする、体が強張る、冷や汗をかくなどの身体症状が出ることがあります。
2.回避および麻痺
トラウマとなった出来事を思い出す状況を避けようとすることです。恐ろしい体験を思い出すような思考、感情、会話、状況や人物を、意識的あるいは無意識的に避けるようになります。そのため、生活をする上での行動が制限され、日常生活に大きな支障が出ることも少なくありません。また興味や関心が乏しくなり、周囲との疎隔感や孤立感を感じ、自然な感情が麻痺したように感じられます。
3.過覚醒
過覚醒とは、睡眠障害、いらいら感,集中困難,過剰な警戒心、ちょっとした物音などの刺激にもひどくビクッとするような過敏反応です。
4. その他の症状
PTSDは、その他にも筋肉痛、下痢、不整脈、頭痛、パニックや恐怖心、抑うつ気分、過剰な飲酒、薬物の使用など、様々な症状を引き起こすことがあります。
【 治療 】
PTSDの治療で一番重要なことは、安全、安心、安眠の確保をし、リラックスできる環境を整えたたうえで時間をかけて自然回復を促すことです。当クリニックにおいては、ほかの精神障害と同じく、薬物療法と心理療法を併用してPTSDの治療を行います。PTSDに対しては、抗うつ薬の一種であるSSRIが有効であることがわかっており、わが国でも保険適応がありますので、これを軸として薬物療法を行います。
また、薬物療法以外の治療を希望はトラウマに特化したカウンセリングを心理士が提供することも可能です。ご希望の方はまず主治医にご相談ください。
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