【 治療 】
　適応障害の治療としては、急性期は薬物療法としての抗うつ薬のSSRIや抗不安薬などで落ち込みや不安の症状を緩和させ心身のバランスを改善できるように整えるだけではなく、ストレスへの調整が重要になります。ストレスへの調整というのは、まずは適応障害の症状が出やすい環境やストレスを減らすように環境調整をすることです。しかし、それだけだと病気のためにストレス耐性が極端に下がってしまっている状態ですので、十分に療養できるように環境の見直しをすることも必要です。その場合には、時短や配置転換だけではなく、休職などの配慮も必要になることもあります。そのためには職場の人達や家族にご自身の状態や負担に感じることを伝えることで理解と協力を得て少しでもストレスが少ない環境調整が重要となります。また、ストレスの負荷を下げることは急性期の治療では非常に重要なのですが、ストレス負荷を減らした状態で長期間過ごすことは、本人のストレスに対する対応力までも低下させてしまうこともあります。そのため、症状が少し落ち着いてきたところで、外出や、買い物、読書や運動などの他者とのかかわりや、人々が過ごしている場所への外出といった行動を繰り返すなど少しずつ日常生活や社会生活のストレスを増やしていく事も重要です。
また同時に、適応障害になりやすい性格としても、周囲の評価や周囲との人間関係に非常に敏感などの考え方のクセなどがあることもあるので、そのような癖や考え方の見直しも心理療法やカウンセリングを通して取り組むことも重要です。