心療内科・精神科

自閉スペクトラム症(ASD)

個性と付き合う

これまで、自閉性障害(自閉症)、アスペルガー障害(アスペルガー症候群)、広汎性(こうはんせい)発達障害、などと呼ばれていた障害群が、「自閉スペクトラム症 autism spectrum disorders(ASD)」として統合されました。罹患率は1.46%とも言われ、日本の人口に当てはめると180万人以上もいる計算になります。ASDの「スペクトラム」という言葉には、「連続体」といった意味であり、軽症~重症の方まで、重度の知的障害を併存する方からむしろ非常に高いIQの方までいます。中核症状も周辺症状もいくつもあり、どの症状が強いか弱いかも人それぞれであり、ASDといっても色々なタイプの方がいます。

【 中核症状 】
社会的コミュニケーションの障害
視線が合いづらい、他者の表情や気持ちが理解しづらいといった症状からは、家族間であってもこころや気持ちが通い合っていないように感じます。友人関係を作りたいのに、他人との波長が合わず浮いた存在になったり、空気が読めないと思われたり、自ら友人関係を作ろうとせず単独行動を好んだりする場合もあります。相手の立場になって考えるのもとても苦手です。言語面に関して、字義的にとらえてしまい冗談や嫌味が通じにくい、言葉を用いないやりとりが難しい人が多いです。人との関係を作り、維持し、理解することが苦手な人が多いです。以下に例を示します。
• 興味や情緒、感情を共有することが難しい
• 視線を合わせたりボディランゲージを使うことがうまくできない
• 表情を変えたり、言葉を使わないやりとりが難しい
• 様々な社会的な場面に合わせて、行動を調節していくことが難しい
• 誰かと一緒に「想像力を使った遊び」をすることが難しい
• 友達を作ることが難しい

限定した興味と反復行動
「こだわり」「想像力の障害」とも表現されます。同じことが反復されて起こることを好み、常同的で反復的な言葉を発し続けたり、同じ動作を繰り返したりします。自分の興味範囲が狭く、特定の物やことに強い関心を示し、その反復行動や情報収集を続けることで、高い能力を発揮することもあります。一方で、新しい環境や突然の予定変更には順応しづらく混乱しやすいです。自分が作り上げた空想やファンタジーの世界に没入することも多いです。以下に例を示します。
• 独特な言葉遣い、話し方をする
• 独自のルーティンや儀式がある
• 予期せぬスケジュール変更があるとパニックになる
• 多くの人は興味を示さないことに非常に興味を示す
• 特定の物事(人、数字、電車など)に対して過剰に関心を示す
• 柔軟性に乏しい

感覚の問題
当事者によると、一番苦しい症状のようです。聴覚過敏のために人が多いところに外出ができない、赤ちゃんの泣き声など特定の音に対して非常に苦痛を感じる、触覚過敏のために特定の衣類が着られない、注射が人一倍苦手、味覚過敏のために好き嫌いの偏食が著しい、視覚過敏のために人一倍明るいところが苦手、嗅覚過敏のために特定の臭いを好む(または極度に嫌う)、時間感覚のずれから過去のつらい体験を現在も起きたかのような混乱を起こすタイムスリップ現象もあります。これらの症状も人それぞれです。

【 周辺症状 】
不安やうつ状態、不眠、イライラ、興奮など多数の周辺症状が出現します。どの症状が強く出るかによって、うつ病、不安障害、精神病など、別の障害と診断されてしまうこともあります。

【 診断 】
発達歴、過去の資料(母子手帳、小学校時代の通知表など)、具体的なエピソードの収集、行動面や言語面の所見、種々の心理検査などの結果から総合的に診断します。

【 治療 】
自閉スペクトラム症は生まれつきの特性なので根本的な治療法はありません。そのため、主要な治療目標は「自分の特性を知り、自分に合った生活環境で過ごす」ことになります。当院では診察や心理検査の結果を踏まえて、患者さんの得意不得意などの特性をお伝えし、より生きやすくなるためのサポートができたらと思っています。また、周辺症状(不安、抑うつ、不眠、イライラなど)に対しては環境調整や必要に応じて薬物療法も行っております。

心療内科・精神科

  1. パニック障害(不安障害)

    パニック障害(不安障害)

    その不安や恐怖は、「考えすぎ」や「心配性」など気持ちのもち方や性格の問題ではないかもしれません。

  2. 睡眠障害(不眠症)

    睡眠障害(不眠症)

    「最近よく眠れない」「寝てるのにスッキリしない」と感じていても、自分の睡眠状態がわからない方はよくいらっしゃいます。代表的な不眠の症状にどういうものがあるのかを知り早期発見を。

  3. うつ病

    うつ病

    うつ病の方の97%は、2つの質問のうち、どちらか一方があてはまるとの研究報告があります。    その質問とは…

  4. 認知症

    認知症

    物事を記憶する、考える、判断するなどの脳の認知機能が低下し、日常生活に支障をきたしてしまうことを指します。

  5. 統合失調症

    統合失調症

    常に誰かに見られている気がする… 誰かにいつも悪口を言われている気がする… そう感じたことはありませんか?

  6. 自閉スペクトラム症(ASD)

    自閉スペクトラム症(ASD)

    「臨機応変な対人関係が苦手で、自分の関心・やり方・ペースの維持を最優先させたいという本能的志向が強いこと」を特徴とする発達障害の一種です。

  7. 躁うつ病(双極性感情障害)

    躁うつ病(双極性感情障害)

    うつ病だと思いながらも、極端に調子がよくなって活発になる時がある方は、躁うつ病かもしれません。

  8. 注意欠如多動症

    注意欠如多動症

    集中できない、忘れ物が多い、ケアレスミスが多い、我慢できない、周りに落ち着きがないと言われる…そんなお悩みありませんか?

  9. 社交不安障害(SAD)

    社交不安障害(SAD)

    “ 緊張 ”と聞くと誰にでもありうる事ですが、毎回強い不安、動悸、下痢、発汗、時にパニック発作といった不安症状が起こります。

  10. 身体表現性障害

    身体表現性障害

    身体の検査結果は異状がないのにも関わらず、身体の病気と思われるほどの症状があらわれ症状に伴う苦痛、不安によって、生活に支障が生じます。

  11. 心身症

    心身症

    身体疾患の治療は身体の治療だけで大丈夫でない場合があります。心身症は様々な疾患の発症・進行・回復・再発に関係しています。

  12. 摂食障害(中枢性摂食異常症)

    摂食障害(中枢性摂食異常症)

    「やせたい」という強い思いがあったりと、本人はなかなか治療したがりません。しかし、低栄養から様々な体の不調につながり、死に至ることもあり拒食・過食とも治療が重要です。

  13. 性同一性障害(性別違和感)

    性同一性障害(性別違和感)

    性の違和感を感じていませんか?身体の性と心の性との不一致により困惑や苦痛を感じます。

  14. パーソナリティ障害

    パーソナリティ障害

    パーソナリティ(人格)の極端な偏りがあり、それにより自己または周囲が苦しんだり迷惑を被ったりします。

  15. 心的外傷後ストレス障害(PTSD)

    心的外傷後ストレス障害(PTSD)

    トラウマだからPTSDじゃないかもしれない…そう思っていませんか?PTSDでなくても今つらい思いをしているのなら一人で我慢せずご相談を。

  16. 不登校

    不登校

    不登校における原因の半数はメンタルヘルスの問題(文化省調査)とされており、いじめが原因でない場合もあります。

  17. 適応障害

    適応障害

    強いストレスが持続してかかった際に心身のバランスが崩れて気分が落ち込み、不安の症状が強く生きるのが辛くなり日常生活に支障が出てしまいます。

  18. 気分変調性障害

    気分変調性障害

    ここ最近毎日気分が落ち込んだり、ネガディブになったりしていませんか?気付くことが治療の第一歩です。

  19. 月経前症候群(PMS)月経前気分障害(PMDD)

    月経前症候群(PMS)月経前気分障害(PMDD)

    生理前は誰だって辛い…そう思って我慢していませんか?症状の重さは人それぞれです。

  20. 強迫性障害

    強迫性障害

    「しないではいられない」「考えずにいらない」そう頭によぎって自分では不可避となります。

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